高校野球でナインのインタビューを見ていたら、今どきの高校生って大人びているなぁ~と感心しています。
高校卒業したばかりの私は、本当に何も知らなかったし、何もできませんでした。
あんな風に知らない大人を前にして受け答えすることはできなかったと思います。
いったいどうやって乗り切ってきたのだろう。
少しだけ、振り返ることにしたいと思います。
連帯感の強い地域で
私は、地方都市の街から離れた片田舎で生まれました。
地域の人たちの連帯は強く、いつも守られている感がありました。
学校までの道のりはとても遠かったのですが、帰りに雨が降れば近所の人たちが見つけてくれて、車に乗せてくれて家まで送ってもらえることもあるような地域です。
その地域が解体したのは、水害。住んでいた地域が浸水指定地域に認定され、集団移転が必要になったから。
集団と言っても、一か所に移転できたわけではありませんでした。
移転後は、高齢者を中心に地域の集まりやよもやま話で盛り上がる場などがありましたが、地域のつながりは徐々に薄くなっていき、今では昔のような連帯はほぼないです。
「バラバラになっちゃったからしょうがないよね」お年寄りの多くはそう言って、昔を懐かしんでいます。
良い面だけでいうと子どもにとって、地域のつながりが強いところで育つと、とても心強いです。
その反面、私はいつも誰かが助けてくれることが当たり前になりすぎて、何となく自信過剰なところもあったと思います。
上京で自信を失う
私が転機を迎えたのは上京。初めの1年は一人暮らしではなく、親戚の家に身を寄せました。親戚は同じ地域で育った人同士が所帯を作ったので、私にとっては二人とも顔見知り。
上京に対する不安もなければ、ホームシックも無関係でした。
ところが…。
進学先に初めて一人で行こうとしたところ、「電車に乗れない、怖い」といった感情が芽生えてきました。
進学先は親戚の家から1時間ほど。2回の乗り換えがあります。御多分に漏れず朝は激混み、ラッシュの中を通学しなければなりません。
これには参ってしまいました。
電車で通学することができない。
そこから雪崩のように、自信が失われていきました。
6時台の電車に乗ったりして登校時間を早めて何とか通学したものの。
今度は同級生など周りとのギャップに悩まされます。
大学というところは、同年齢の人たちばかりではありません。
1つや2つ年齢が違うのは当たり前。
年配の方が最前列で講義を受けている姿もありました。
私は、何を学びに来たのだろう。
自問自答をする日々となりました。
経験したことのないサービスを受ける
上京後も地元の同級生と頻繁に会っていました。
そうでないと、気が休まらなかったのです。
ある日、地元の同級生から、「回らない寿司を食べに行こう」と誘われ、少しだけお金を多めに持って何の気なしに出かけました。
回らない寿司は、私にとって初めてで、とても緊張して頼むこともできません。
地元の同級生は慣れていたのかスラスラ頼んでいます。
私は思わず、「お寿司は今日初めてなんです。お任せでお願いします」と冷や汗をかきながら必死に頼みました。
おかみさんらしき人は「かしこまりました」と微笑んでくれたように思いました。
その後、寿司をネタに大将やおかみさんが代わるがわる様々なことを教えてくれました。
初めての誰だか知らない若い客に、こんな接客をしてくれるの?と驚きました。
値段はとても張りましたが、値段以上に寿司はおいしかったし、上質なサービスは得難い経験でした。
高級なお店の中には一見さんお断りのところもありますが、ちょっと背伸びして上質なサービスを受けることは、人を楽しませるサービスとは何ぞやと考えさせられます。
あの年齢で上質サービスに心地よくなってしまうことが、一番の怖さですが…。
節約の生活
上京して、様々な人と接することで、自分も一人でやってみたい気持ちが芽生え、1年後に一人暮らしを始めました。
自炊から掃除、洗濯など家事一般と仕送りとアルバイトで賄うお金のことも全部自分でやり始めました。
アルバイトも職には就けたものの最初は上手くいかず、涙を流すことばかりでしたが、なんとか手にした給料の3万円はとても嬉しくて、手を付けたくなかったのを覚えています。
「何とか貯めて車の免許を取ろう。」と目標を持ち少しずつ始めた節約生活。
見切り品の野菜を買ったり、少しでも安い洗剤を買ったりして工夫することが楽しくなっていきました。
ゲームのように節約も楽しめれば、こちらのもの。
だんだんと生活が楽しくなり、学生生活も充実していきました。
思い切ってチャレンジ
今思うと、若かったからできたこともあると思うし、自信過剰なところや戻る家や親戚がいたからチャレンジできたのかもしれません。
私も「若いってうらやましいな」と思う年齢になりました。
アラフォーだと平均年齢の折り返し地点。
まだまだ若い方なのかもしれません。
若い子たちをうらやんでいてもしょうがないですね。
上京してきたあの頃を思い出して、今の若い子たちの若いパワーを少しいただいて、私もチャレンジしてみようかな。
今日が一番若い日。
上を向いて歩いていきたいものです。