国民健康保険と国民皆保険。問題点もあるけれど、歴史を見ると優しさの集まった制度でした

制度の話

病院にかかった時に必ず提示する健康保険。

医療や病院のニュースから、日本では、国民皆保険制度であることを学びました。

国民皆保険制度は、その名のとおりすべての国民が、何かしらの健康保険に加入している状態のことをいいます。

画像は厚生労働省から引用しました。https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000768312.pdf

みんなで支えあう仕組みをつくろう

国民健康保険は、1938年(昭和13年)に創設されました。

それまでに健康保険法はあったのですが、一部の工場の労働者など限られたものでした。

1929年(昭和4年)にアメリカを発端とした世界恐慌から、工場で働く人が大量に解雇され、故郷である農村に戻っていきました。

農村では自給自足の農業が主流。

さらに、冷害が追い打ちをかけ、作物の不作が重なります。

栄養が満足に取れず、家族も増えたことで、健康状態が悪化して病気になる人が増えました。

病気になっても保険が無いので、全額自己負担。

多額のお金がかかります。

大変な時だから、みんなで支えあう仕組みをつくろう

国民健康保険は生まれました。

創設から23年後、国民皆保険達成!

国民健康保険が創設されたのは1938年でしたが、戦争の影響で、なかなか加入が進みません。

当時は、徴兵制度もあり、空襲も身近なもの。配給があるとはいえ、物価も上昇。

保険料を支払うのも大変だったと思うので、加入したくても加入できなかったのだと思います。

1945年(昭和20年に)やっと戦争が終わり、GHQ登場!

GHQの勧奨により、加入する人が増えていきます。

そうして、創設から23年後やっと1961年(昭和36年)国民皆保険が達成されたのでした。

今も昔も変わらない支えあう制度

国民健康保険は、自営業や農林漁業に従事している方、パートやアルバイト社員などで会社の健康保険に入れない人とその家族が加入しています。

国民健康保険は市区町村単位となっているので、加入するのは、住民票があって、実際に住んでいる自治体に加入します。

加入要件

住民登録があり、実際に住んでいること

転出して14日以内に転入手続きを行った場合、転入した日にさかのぼることができる。

転出して14日を過ぎた場合、手続きを行った日までの保険診療が受けられない場合が多い

もしも会社を退職したら

会社を退職すると、退職日で健康保険の資格を喪失となります。

資格を喪失すると無保険になってしまいます。

無保険の間に受診すると、医療費は全額自己負担(10割負担)

膨大な医療費が請求されることがあります。

退職の際は、次の保険の加入手続きを忘れずに、退職日と転職先に時間差があるようであれば、国民健康保険に加入しておくことをおすすめします。

もしも、住民登録がなかったら

住民票のある自治体から、今住んでいる住所地へ住民登録を移動させることを検討しましょう。

暴力や借金などから逃れているなど、住民登録が移動できない理由がある場合は、実際に居住していることが確認できる場合に限り、市区町村の判断で住民登録がなくても国民健康保険の資格を認める場合があります。

健康保険の窓口は、各市区町村の国民健康保険課、保険年金課などですから、事情を話して相談みましょう。

お互い様の精神

私の保険証は数年前にカードになりました。

コンパクトになって便利だな。

今度マイナンバーに紐づけされるってニュースで見たよ。

健康保険料毎年上がって困っちゃうよね。

当たり前すぎて、保険の仕組みというか根幹を忘れていました。

適正な保険料を制定してもらいたのは、やまやまです…。

でも根幹にあるのは、「病気やケガなど困ったときにみんなで支えあうから、普段から少しずつお金を出し合おうね」というもの。

創設から100年近くたちますが、昔の人が考えた、ギッシリと優しさの集まった制度。

困ったときはお互い様の精神で、ありがたく制度の利用をさせていただこうと思います。