治水や水の有効活用を担うためのダム。渇水期に浮かび上がった遺構からダムの別の顔を垣間見る

暮らし

湖底にある切り株。

ダム湖になる前に木が切られたものなのだそうです。

昔は農林業で栄えたともいわれる山奥のムラは、街の治水を保つために、湖の底となりました。

ダムには、展望台があって、そこからの眺めは圧巻。

普通は湖や、湖を囲む森など自然を見ながら楽しむのだろうけど、私は湖底近くの切り株が気になりました。

ダム湖だから、許可が無いと立ち入りはできないし、できたとしても、登り降りに腕力と多少の手助けを要すると思うので、体力のない私は近づくことはできません。

行けそうだけど、いけない感じ。ちょっともどかしい感じ。

様々な顔を持つダムの魅力に取りつかれそうです。

ダムには様々な思いが詰まっている

全国には多数のダムがあります。

ダムが作られる目的は、治水や水の有効活用。

農業や工業などの産業で使われる水を供給してくれたり、大雨が降ったときなどに、川の水があふれないように川の水を調整する役割や水道水を提供してくれています。

私が住む街も、ダムのお陰で多少の大雨が降っても、安心した生活が送れています。

一方で、ダム建設のために、立ち退きを余儀なくされたり、沈んでしまった村があるとも聞きます。

ダムの要否ではなくて、みんなの生活を守るために、誰かが別れを告げたことも忘れてはいけないことなのかな、とも思っています。

宮ヶ瀬ダム

首都圏最大級のダムといえば、神奈川県唯一の村、清川村にある宮ヶ瀬ダム。

神奈川県には欠かせない水源地となっています。

私の住む街も宮ヶ瀬ダムによって、水道水が賄われています。

2000年に完成した宮ヶ瀬ダムの底には、300戸余りの集落と学校などを含む生活拠点が沈んだのだそうです。

地元の方の気持ちを思うと複雑な気持ちになります。

宮ヶ瀬ダムは、観光にも力を入れているので、我が家のような小さな子ども連れには、気兼ねなく走り回れたり、ロードトレインにも乗れたりできて、ピクニックには最適の場所。

クリスマスにはもみの木に飾られた大きなクリスマスツリーが有名で、季節を問わずに週末には老若男女問わずに人気のスポットとなっています。

人里離れて

賑わうダムから少し離れると、そこは自然の中。

ドライブをしたときには、渇水状態だったので、かつて使っていたであろう道路のガードレールや崩落したと思うわれる道が見えていました。

ここはかつて人が住んでいた場所なんだなと思うと、胸がつまされる思い。

この切り株も、当時の村人の思いや息づかいをダムの底から伝えてくれているのかもしれないですね。

切り株は生きているはずはないと思うのだけれど、まるで化石のように何かを伝えたそうな、そんな感じを受けます。

地元の方の思いを考えると、複雑な気持ちになりますが、楽しく過ごせる観光資源のダムと、過去の遺構を垣間見るダムを見れたことは、自分の生活を見つめるきっかけになりました。

誰かのおかげで、自分が生活できている。

そういう感謝の気持ちを持ちつつ、みんなが触れ合えるダムは、魅力に包まれていると感じるのです。