西暦が2000年に変わった年。
様々な予言も何事もなく、普通に毎日が続いていく中、『チーズはどこに消えた』という本が出版されました。A5版の小さな本は世界中で大ヒットし、私の住んでいる街の本屋さんでも大々的にコマーシャルされていました。
連られて購入した私は、買ってからずっと、本棚の隅に置いていました。
短くて簡単だけど、土手も深いお話がそこにはありました。
登場するのは2匹と2人
登場するのはネズミ2匹と小人の2人。
ネズミの名前はスニッフとスカリー。
小人の名前は、ヘムとホー。
スニッフって英語で嗅ぐとかそういう意味。
スカリーは臆病なとかあまりいいイメージな名前ではありません。
小人の方はどうでしょうか。
ヘムと縁(ふち)とかヘリのこと。
ホーは鍬のこと。
小人たちの名前にも特に意味はないのかも。
でも、読み進んでいくと、なるほど!と膝を打つような場面が出てきます。
簡単なあらすじ
2匹と2人は迷路の中にいます。
そしてチーズを探しています。
何となく、想像がつくでしょう。
そう、このお話は、迷路の中に住み、チーズを探すお話なのです。
チーズを探していく中で学んでいくこと、気が付いていくことを各減として残しています。
ただそれだけのお話。
私たちにとってのチーズとは?
ネズミたちは脳が小さいため、前に進むしかなかったのかもしれないですね。
でも、少々臆病なのと名前のスニッフのとおり、先を嗅ぐ力はあったのかもしれません。
とにかく、奢らずいつものルーチンワークをこなし、常に前を向いて進んでいるといったイメージです。
そして、小人たちは、頭を使うことができます。
チーズステーションを見つけた途端に、チーズを探し回るのをやめ、ステーションの近くに家を建て、安定した生活が望めると思い、そこに安住してしまいます。
安住することは悪いことではないのですが、以前のような嗅覚や探究心は全くなくなり、チーズが減り始めていることすら気が付かなくなる鈍感さも持ち合わせています。
そして、決定打は変化を望まず、意固地になり、自分を客観視できなくなるということ。
私たちにとって、この本の中のチーズとは何なのでしょうか。
それは、人生で求めるものなのではないかと思うのです。
仕事だったり、家族、お金、健康、人生の岐路はいくつもあります。
一方で迷路は会社であったり、社会であったり、家族などのコミュニティーを表しているのかも。
つまり、迷路は人生そのものというわけなのです。
このシンプルな物語には、状況の急激な変化にいかに対応すべきかを説く深いお話なのです。
あなたはどのタイプ?
物語に出てくる誰にあなたは似ていますか?
私はヘム。
完全にヘムです。
私は、新しいものを受け入れるのが苦手。
今あるもので十分と感じてしまいます。
スマートフォンを持ち始めたのもつい2年前。遅いでしょ。
良いものだとは分かっているんです。
でも、購入する理由がないというか、ガラケーに慣れてしまっている自分がいて、新たにスマートフォンを勉強するのが面倒くさいという理由が本音。
何でも新しいものに飛びつけばよいというわけではないのだけれど、時代の流れを見れば明らかですよね。
生きている限り、変化を受け入れ、学び続けなければならないのです。
気が付くことが大事
そんな超腰の重い私ですが、この本を読み返して、気が付くことが大事だなと思っています。
長年培ってきた自分の性格を簡単には変えられません。
でも、ホーのように何かをきっかけに動き出すことができるかもしれません。
無駄なこだわりを捨てて、一歩を踏み出す小さな勇気を出すことで、ヘムからホーに変わることができるのです。
最後に
IT革命と呼ばれた時代に出版され、その後に9.11があったり、戦争があったり、リーマンショックがあったり、大震災があったり世界を見回すと何もない年なんてないかもしれない激動の今を生きているんだなとつくづく思います。
そして自分がとても恵まれた国に生まれて、平和な生活を送れていることに感謝しなければならないなとも思います。
それと同時に、これから色々なことが起こるだろうし、そのたびに人類は乗り越えていくのだろうと思います。
そして、新しい変化は続くはず。
とても劇的な変化になるかもしれません。
この時代を生きていくために、変化に対応する力は常に持っていなければなりませんね。
ホーのように小さな勇気出してと学び続ける勤勉さと、スニッフとスカリーたちのように、物事をシンプルに考えての行動力。
小さな変化に気が付きながら前を向いて進むという行動力に学びながら、人生という名の迷路を攻略していきたいと思います。