先日、真山剛さんの『非正規介護職員ヨボヨボ日記』三五館シンシャ(2021/5/1)を面白く読ませていただきました。
この日記シリーズがいくつもあることを知って、シリーズ第2弾を読んでみることに。
岸山真理子さんの『ケアマネジャーはらはら日記』三五館シンシャ(2021/7/23)です。
御年68歳の岸山さんが介護の困りごとに駆け付け、一緒に伴走した日々のお話です。
本人はおののきながらと記載していますが、私から見れば、とても勇敢にかつユーモアのあるケアマネさんです。
内容は深刻な内容もありますが、軽いタッチで一気に読めました。
ケアマネジャーの仕事
ケアマネジャーは、2000年の介護保険制度の創設に伴って作られた職業です。
ケアマネジャーは、主に要介護認定を受けた方のケアプランを作成する居宅介護支援事業所と要支援の認定を受けた方や地域の高齢者の方の相談を受ける市区町村の委託機関である、地域包括支援センターに勤務していることが多いです。
他にも、介護福祉施設などに勤務されていますが、メインとなるのは、居宅介護支援事業所と地域包括支援センターではないかと思います。
この2つに岸山さんは勤められています。
ケアマネジャーの仕事は、利用者本人に限らず、介護をされている家族に対して、居宅介護支援事業所のケアマネジャーへの助言や地域での啓蒙活動まで多岐にわたります。
人に寄り添う
ケアマネジャーの仕事は、一言でいうと人に寄り添うことだと思います。
色々なセーフティーネットや制度はあるけれど、必ずしも全員が利用できるわけではないし、みんなが救われるわけでもない。
一人ひとり悩みは違うし、正解だって一つじゃない。
すぐに答えを出せる人もいれば、じっくり時間をかけて答えを出す人もいる。
その人に寄り添いながら、お話を伺って、その人が自分で答えを導き出せるように支援していく。
ケアマネジャーの仕事はなかなか見えにくいけれど、とても大事なお仕事なんだと思います。
人間関係って難しい
第3章の人間関係ってヤッカイだ。では、自分のことかと思うような描写がたっぷりありました。
私も転職経験者。
その職場に馴染むまでにとても苦労しました。
同じような業務内容でも、やり方が異なったり、その職場の雰囲気とか習慣とかそういう見えないものも覚えていかなくてはならない。
周りが見えなくなりやすい私にとっては、慣れるまでに時間もかかりますし、とても長くて辛い時期に感じてしまいます。
そういう時に限って、自分が空回りしてしまったり、逆に自分がフリーズしてしまったり、どうしてよいかわからなくなります。
仕事って半分以上が環境、人間関係で成り立っているんじゃないかなと思ったりもします。
難しいですよね、人間関係。
成長を求めて
冒頭にも、あとがきにも著者は「私は優秀なケアマネジャーではない」と書かれています。
でも、エピソードを読み進めていくと、とても人間味のある素晴らしいケアマネジャーであることが分かります。
全て著者である岸山さんが体験されたことで、ご本人は謙遜されていますが、きっと岸山さんの目指すケアマネジャー像が高いものなんだろうなと感じます。
長く生きていると必ずだれにもやって来る老いや死、そして介護。
キレイごとじゃなく、生の現場の声が聴けたとても勉強になる本でした。