朝夕の冷え込みも涼しさというよりも肌寒いと感じるようになりました。
今日から二十四節気の「寒露」
寒露の名前の意味は、秋も深まり、草木に降りる露も、いつの間にか冷たさを増しているということです。
そろそろ冬支度を本格的に始めようかな。
鴈来る
何のことはないマガンのことです。鴈(ガン)はカモ科です。
カモよりも大きくて白鳥よりも小さい鳥です。
翼を広げると150cmにもなる大きな鳥。
渡り鳥としてこの時期、くの字になって飛んでいます。
私の育った地域では秋の風物詩。
北海道の宮島沼や宮城県の伊豆沼が有名で毎年何万羽もの鴈がシベリアから渡ってきます。
日の出前に一斉に飛び立つ姿は圧巻です。
冬鳥として有名な鴈をみると、「ああ、今年もあと少しだね。冬の準備をしなくちゃね」と祖母と話したものでした。
そういえば、その年に初めて来たマガンのことを「初鴈」といいます。
「初鴈」は最近人気の俳句で、秋の季語にも使われていますね。
鴈の編隊飛行
鴈が群れで飛ぶときは、くの字(V字っていうのかな)に編隊を組んで飛びます。
この形を「雁行」(がんこう)というらしいのです。
雲の内空を見上げた時に鴈の群れが飛んでいるととても哀愁を感じさせる美しさがあります。
どうしてこんな形をして飛ぶのだろうかと思って調べてみると、実は、鳥たちは意識してあのような編隊を組んで飛んでいるわけではないのだそうです。
鳥が羽ばたくと空気がかきまわされて、その鳥の後ろにうずを巻いた風がのこります。
群れで飛ぶ鳥たちは、この風を利用しているというのです。
省エネしようと効率的に風を求めて並んでいったら、くの字になったというわけです。
遠距離を飛ぶ渡り鳥ならではの知恵ですね。
鴈の編隊飛行からオアシスを考える
鴈の編隊飛行を考える限りだと、一番つらいのは先頭の鳥。
どんなに健康で元気な鳥でもずっと一番前を飛ぶことはできません。
そのため先頭の鳥は入れ替わるのだそうです。
長距離の移動は渡り鳥でも大変。
でも、疲れた時には、他の元気な鴈が「次は私が交代するわよ」と言って先頭の鴈を後ろに回すのだそうです。
しかも、後ろの鴈は前を飛ぶ仲間を勇気づけるために「クワァ、クワァ」と鳴いているのだそうです。
確かに鳴きながら飛んでいたのを見たことがあります。
あれは励ましの鳴き声だったんですね。
鴈に気持ちがあるのか分かりませんが、優しさのある鳥ですね。
鴈の群れは、助け合いながら長距離を飛行し、冬の間だけ宮島沼や伊豆沼などで過ごします。
春になると繁殖地であるシベリアへ戻るので期間限定の別荘地みたいですよね。
私も一人暮らしの生活を経て家族が増えましたが、鴈をみると家族を重ね合わせてしまいます。
一人では乗り越えられない壁も家族がサポートしたり、ヘルプしたりすれば、乗り越えられる方法が見つけられるはず。
家族で過ごす時間は、鴈のV字飛行と一緒かもしれません。
ありのままでいられる空間、飾ることなく素のままで休める空間、疲れた時には誰かが労われる関係づくり、お互いがお互いを尊重し合える仲間。
自分の快適と家族の快適を第一に冬支度を始めてみようかと思います。