生きとし生けるものは、そこに存在するだけで貢献し合っている

読書感想

数日前に、自分流の本棚を作ろうと意気込んでみました。

本棚の片づけ法。ドラフト会議へて選りすぐりの本棚をつくろう
片づけようと思い立っても中々進まない本棚。自分が好きで手に取った本だから、簡単に手放せるわけがないですよね。でも、今の気持ちはどうなのか。本棚の本との対話はまるでドラフト会議。選りすぐりの本たちに囲まれると、なんだか自分が本棚というチームの監督になった気分。

かれこれ50冊は手放したところですが、やはり欲望には勝てず、気になる本を手に取ってみてしまいました。

それも、先日『チーズはどこに消えた』の類似本。

当時は、チーズだのバターだのヒマワリだの類似本がたくさん出回っていたのでした。

学生だった私ももれなく即買いしたのですが、あの時もなんとなく不安を抱えていたな~

今も漠然とした不安があるけれど、あの時とは少し違っているような気がする。

こういう本が売れる背景には不安があるんでしょうね。

大ベストセラーになった『チーズ~』ですが、この本は似せすぎていて色々な意味で大丈夫なのかなと思ってしまいつつ、つい手に取ってしまったのでした。

ひまわりの種は誰が食べた?

著者は、ニック・レビーさん。

米国籍の方で植物学博士で心理学者。

長らく日本に住んでいたのだそう。

本人による裏話が冒頭に書いてあるのですが、『チーズ~』の大ヒットによる二匹目、三匹目のドジョウを狙おうとしていることを否定していないという潔さがありました。

登場人物は、二匹のハムスターと二匹のウサギ。特に名前はありません。

本編に入る前に、裏話を読むと何となく内容が分かる感じも著者のおおらかさを感じさせるものでした。

ウサギの幸せとハムスターの幸せ

本の内容を一言でいうと、本当の豊かさとは何なのかを考えるお話です。

登場人物は仲良く暮らしていたウサギとハムスターの四匹。

ある日ウサギに赤ちゃんが生まれたことから変化します。

ハムスターは本当は自分が食べたかったのだけれど、子どもが生まれたウサギのお祝いにドングリをプレゼント。

家族が増えたウサギをうらやましく思い、自分たちの家族を作ります。

やがてハムスターにも赤ちゃんが生まれ、ウサギは自分が食べたかったニンジンを子どもが生まれたハムスターのお祝いにプレゼントします。

しかしお互いに本心からお祝いを渡していないことを発端に生活がギスギスし始め、険悪に。

ハムスターとウサギの四匹だった村は、大きなコミュニティになってしたこともあり、生活に限界を感じたウサギは村を出ていきました。

そんなウサギに同調した行動力のあるハムスターがウサギと一緒に行動を共にしました。

残されたハムスターは、いわゆる社会的弱者。

そんな中、一匹のハムスターが過酷な状況の中でも生き延びるヒマワリの種を村で育てて食料にしようと提案し、ヒマワリによって村は繁栄します。

その後、ウサギと行動を共にしたハムスターが戻ってきたり、かつて一緒に暮らしていたウサギが最先端の街を作り上げた後に、ハムスターの村を訪ね、ハムスターをウサギの街に招待したりします。

そこで幸せとは?と考えさせられるのです。

身近にある幸せを感じる

物語を一通り読んで、共感するかどうかは別として、幸せというのは身近にあるものだと教えてくれていることは分かりました。

幸せとは、幸せになるものではなく、感じるもの。

他人と比較することで幸せを感じるようになると、結果的に自分を追い込んでしまいます。

変化も変化に対する対応も多種多様。

自分の考えを持ち、自分で判断することが大切なんだと思います。

SDGsのさきがけ

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称。

この理念に賛同して取り組んでいる官公庁や企業も多く見かけるようになりました。

1人1人が足るを知ることは、ゆくゆくはSDGsのターゲット達成にもつながるのかもしれませんね。

なんとなくお説教ぽい本です(笑)

でも20年も前に協調と調和の時代を生きる指南をしてくれている点は、『チーズ~』とはまた違った視点のライフハックだなぁと興味深く感じました。