コンバージェンス(convergence)とは、複数のものが一つに集まること。
衣食住、輸送、医療とテクノロジー…様々な分野が融合、あるいは一つに集まって、爆速的な発展を遂げる。
『2030年すべてが「加速」する世界に備えよ』 ピーター・ディアマンディス (著), スティーブン・コトラー (著), 土方奈美 (翻訳) NewsPicksパブリッシング (2020/12/24)読んでみました。
アメリカのハイテク企業って、破壊力があり未来に期待してしまうけど、なんとなく不安も残るそんな本でした。
未来と言っても2030年
今年は2021年なので、あと10年足らずで、起こるというのです。
つい最近、パソコンを購入するにあたり、
CPUが?
ストレージが?
とかやっと掴んだばかりなのに、それどころじゃなくなりそうです。
アメリカのハイテク企業の多くはカリフォルニア州に本社があるようなのですが、彼らから見たら、私など、顧客の対象からも外れるんじゃないの?
置いて行かないで~
タケコプターが現実に
ドラえもんの誕生は2112年ですが、2030年に似たような世界が登場するようなお話です。
それも、のび太だけの道具ではなく、世界中のみんながドラえもんの道具を使い始めるイメージです。
この本に出てくる空飛ぶ車は、タケコプターにAIが付いていてみたいなイメージかな。
ん、ん?
何?
量子コンピューター?
今使っているのは何コンピューター?
古典的から量子的コンピューターに
あら~古典的コンピューターなのね。
古典って…。
枕草子や源氏物語みたいよね~
何が違うかというと、古典コンピューターは0と1のどちらかを組み合わせて単位(ビット)をつくって動かしているのですが、量子コンピューターは0と1を重ね合わせて単位(キュービット)をつくって動かすというものだそうです。
古典的コンピューター
量子的コンピューター
こんな感じでしょうか?
あまりにわからなさすぎ。図にしない方がよかったかしら?!
コンピューターは0と1の数字をつくって動いていて、古典的コンピューターは0と1が独立しているのに対して、量子的コンピューターはオセロの石のように0と1が重なっている。
同じ0と1の数字の並びでも量子コンピューターの方が段違いに速いということのようです。
以前、日本のスーパーコンピューター富嶽が世界で一番早いスーパーコンピューターだとされたのですが、これは古典的コンピューター。
アメリカのハイテク企業や中国を中心には、量子コンピューターの開発に注力していて、いずれ加速度の増した革命が起きるというのです。
スーパーコンピューターの富嶽はすごいけど、世界は次元が違いすぎる~!
ジワリと入り込んでいるAI
実はもう、AIの時代だったりしますよね。
うちの冷蔵庫は2年前に購入したのですが、野菜室にAIが付いています。
ルンバも電気屋さんで珍しくもなく売られているし、車は、新車購入時の自動ブレーキが義務化されたし、AIがいつのまにか身近なものになっています。
AI(人工知能)とは、人間の脳がしていることを行えるようにしたコンピューターシステムのこと。
普通のコンピューターは、プログラムされた通りしか処理できないけれど、人工知能は、学習して、判断して処理をしながら、状況に応じて対応できるもの。
いわば人間を学習して予測を立てる人間のコピーみたいなもの…。
ちょっとキーボードを打っていて、怖くなってしまいました…。
私はAIには適わない…。
恩恵を受けられるかも
量子コンピューターとAI、その他が組み合わさって、1万6000の病気や老化が克服されるというのです。
2020年ノーベル賞受賞のクリスパー・キャスナインという、DNAの一部を切り取るハサミ(酵素)の開発は、ゲノム編集を簡単にできる技術。
量子コンピューターとAIが遺伝情報をもとに病気の傾向と食生活から、病気の予測が立てられれば、あらかじめゲノム編集も可能。
老化も止められるのでは?
というもの。
じゃあどうやって、人間は死ぬのかな?
という疑問は置いといて、ノーベル賞まで受賞できた技術が浸透するのは、LEDの照明やイルミネーションが社会に浸透したのと同じように、そう遠くない将来に生活の中に組み込まれる可能性が高いです。
AIとドローンで植林
ドローンでモノを運んだりすることは、災害や紛争地域で見たことがあるので、輸送はできるようになるのでしょう。
そこにAIが加わって、山の中では木を植え、海の中ではサンゴを保護するというのです。
人間の破壊した自然を人間が開発した人工知能を使って自然の保護と改善に努めるって、あべこべな感じがしますが、技術的には本当にできそうですよね。
もう肉体はいらない?
この辺までくると、テレビ東京の『やりすぎ都市伝説』です。
ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)のお話。
脳が直接インターネットに繋がって、クラウドに保存できるというもの。
番組の中でマイクロチップを体に埋め込んでいる人などを紹介していたので、違和感なく読めました。
都市伝説レベルではなくなるのだろうな。
この本を読み進めていくうちに、中毒なのかわからないけれど、受け入れざるを得ない現実が来ていることを実感します。
この本の内容が、マッキンゼーのリサーチなど科学的根拠に基づいた事実について述べているからかもしれません。
自分はどうする?
この本は本当に読むのが大変でした。
何せ、カタカナが多くて。
英語が多くて。
本自体も400pくらいあるので、本の厚さだけ見ると、読み切れるか途方に暮れました。
でも、少しずつ流し読みでも最後まで読むと、自分の現在地が分かった気がします。
すでに、自分が置いてけぼりなのが分かりました。
私の知らないどこかで、開発されている技術は、確実に私たちの生活を変えてきます。
密かに開発されているわけでもなく、大企業や大国が開発しているのに、全然わからない。
そして、もうすでに動き出しているのに実感がない。
『2030年すべてが「加速」する世界に備えよ』は加速度のついた地球から自分が振り落とされるのではないか、そんな怖さを感じる本でした。
一通り読んで不安になった読者に対して、
それは「損失回避性」という進化の過程で植え付けられた最も強力な認知バイアスの一つ。現在手にしているものと引き換えに、未来に新しいものが手に入るとしても、後者の方がずっと価値の低いのではないかと疑念を抱くことだ。
とあります。
その通り。
変化に応じた対応が必要。
近い将来こんな時代が到来するけど、どうする?
何を準備する?
私はできるだけ学び続けることかなと思いました。
そして、できることはチャレンジしてみる。
たとえ、病気が克服されて寿命が延びたとしても、楽しくなければ、何のために生きるのか見いだせいないじゃない。
楽しいことはどれかな?
判断に困ったときにはココを原点に考えて、学んで、挑戦することかなと改めて思いました。
本当に、人間の未来ってどうなんてしまうのだろう、期待と不安が交差する本でした。